FBTK + OpenFF | LAMMPS での低分子純物質 MD (エタノール)
FBTK + OpenFF | LAMMPS での低分子純物質 MD (エタノール)
Section titled “FBTK + OpenFF | LAMMPS での低分子純物質 MD (エタノール)”この事例では、OpenFF で計算した高品質な AM1-BCC 電荷 を保持したまま、エタノールの純物質システムを構築・実行するワークフローを解説します。
背景:なぜ FBTK + OpenFF なのか?
Section titled “背景:なぜ FBTK + OpenFF なのか?”低分子のシミュレーションでは、分子の電子状態を考慮した精密な電荷割り当てが物性再現の鍵となります。OpenFF 標準の AM1-BCC は非常に優れた電荷割り当て手法ですが、OpenFF 単体ではバルク構造をパッキングする機能がありません。
FBTK を導入することで、以下のメリットが得られます。
- 精密電荷のポータビリティ:
Molecule.from_openff()により、OpenFF で計算した AM1-BCC 電荷を FBTK の Molecule に封入し、そのままバルク構築へ利用できます。 - 自動化された力場割り当て: LAMMPS の複雑な
hybridスタイルやspecial_bonds設定を、system.to_openff()が完全に自動化します。 - 堅牢な実行フロー: FBTK のパッキング構造を、LAMMPS 側での「EM後のSHAKE」という正しい順序で処理することで、極めて安定したシミュレーションが可能になります。
# OpenFF 連携環境の有効化conda activate fbtk_openffPython スクリプト
Section titled “Python スクリプト”import fbtkfrom openff.toolkit import Molecule as OFFMolecule
# 1. OpenFF で電荷計算済みの分子を準備# エタノールに対し、MO 計算に基づく AM1-BCC 電荷を割り当てますoff_ethanol = OFFMolecule.from_smiles("CCO")off_ethanol.assign_partial_charges(partial_charge_method="am1bcc")ethanol = fbtk.Molecule.from_openff(off_ethanol)
# 2. fbtk で純物質系の構築 (300分子)builder = fbtk.Builder(density=0.789)builder.add_molecule(ethanol, count=300)system = builder.build()system.relax()
# 3. OpenFF 出力 (最新 Sage 2.2.1 を適用)interchange = system.to_openff(forcefield="openff-2.2.1.offxml")interchange.to_lammps("ethanol_system.data")MDシミュレーションの実行手順
Section titled “MDシミュレーションの実行手順”OpenFF が出力するテンプレート(ethanol_system.data_pointenergy.in)を参考に、MD 用の入力ファイルを作成します。
テンプレートの書き換えポイント
Section titled “テンプレートの書き換えポイント”ここでの最大のポイントは、minimize を fix shake よりも前に実行することです。これにより、FBTK の暫定構造が OpenFF の理想形状へストレスなく収束できます。
# --- ethanol_md.in の追記例 ---# 1. まずエネルギー最小化 (SHAKEなし)minimize 1.0e-4 1.0e-6 100 1000reset_timestep 0
# 2. 正しい形になったところで拘束 (SHAKE) を適用# OpenFF が自動生成した ID (今回の例では b 2 4) をそのままコピーしますfix 100 all shake 0.0001 20 0 b 2 4
# 3. MD開始fix 1 all npt temp 300.0 300.0 100.0 iso 1.0 1.0 1000.0run 5000実行結果と検証
Section titled “実行結果と検証”構築したエタノールシステムにおいて、最新 host OpenFF Sage 2.2.1 力場を用いて MD 計算を実行しました。
LAMMPS 実行ログ(抜粋)
Section titled “LAMMPS 実行ログ(抜粋)” Step Temp Press Density PotEng Enthalpy Volume 0 300 -3891.9437 0.78899431 797.56848 1023.5941 29087.215 5000 300.2478 -93.424689 0.66144066 2186.061 4017.3535 34696.456EM ステップでエネルギーが速やかに収束し、その後の MD も熱力学的に安定して推移していることが確認できました。
純物質系であっても、最新の OpenFF 力場と FBTK の柔軟な構築能力を組み合わせるメリットは絶大です。特に、AM1-BCC 電荷を保持したまま一撃で最新の物理パラメータを適用できるワークフローは、低分子 MD のスタンダードとなる構成です。